ノミは繁殖力が高いって本当?
ノミってどんな繁殖サイクルや生態なの?
ノミが繁殖したときの対処法を教えて
ペットの体にノミを1匹発見。
「1匹くらいすぐ駆除すれば大丈夫」なんて思っていませんか?
あなたが見つけた1匹のノミ。
実は、一生に数百個以上もの卵を産むのです。
なぜなら、ノミは繁殖力が非常に高い害虫だから。
今回は、ノミの繁殖サイクルや生態、また、繁殖したときの対処法をご紹介します。
この記事を読めば、ノミの繁殖力がいかにすさまじいものか分かります。
1匹のメスのノミが、50日間で1745個を産卵した報告もあるそうです。
そんなに⁉対処法は絶対知っておかなきゃ!
ノミの繁殖サイクルと特徴
- 【ノミの繁殖サイクル】ノミの繁殖スピードはすさまじい!
- 【卵の特徴】たった6日でふ化をする
- 【幼虫の特徴】2度脱皮する変身じょうず
- 【サナギの特徴】サナギはかくれんぼがうまい
- 【成虫の特徴】2日で産卵!あっという間に大繁殖
ノミは、卵・幼虫・サナギと成虫になるまですたがかたちを変えながら成長していきます。
「完全変態」といわれる昆虫なのです。
さらに、ノミは、成虫になるとあっという間に繁殖しはじめていきます。
1匹くらいのノミで…と油断してはいけません!
ここからはどのようにノミが成長するのか、ノミの繁殖サイクルについて説明していきますね。
【ノミの繁殖サイクル】ノミの繁殖スピードはすさまじい!
1~6日でふ化する。
1~2週間で2度の脱皮を繰り返しサナギになる。
1~2週間で繭(まゆ)の中でう化し成虫になる。
吸血・産卵を繰り返し、約2~4カ月で寿命を迎える。
卵から成虫になるまでの期間は、なんとたったの3~5週間。
すさまじい繁殖スピードですね!
また、イメージ図を見ると、どの成長段階もすがたかたちが違うのでなかなかノミだと判別しにくいのも特徴。
ノミを見極めるために、次はノミの特徴を成長別に詳しく見ていきましょう。
こんなに成長が早いのね。
見つけた頃にはすでに大量繁殖していることも考えられそう。
【卵の特徴】たった6日でふ化をする
卵の特徴 | |
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大きさ | 直径約0.5mm |
色・形 | 乳白色の卵型でつやつやしている |
好適な環境 | 温度27℃以下、湿度50%以上 |
卵の期間 | 1~6日 |
ノミの卵は、産まれると犬や猫の体から落ちて、タタミやカーペットなどで繁殖します。
卵は27℃以上の温度が苦手で、動物の体温では育たないため、産み落とされたあとは床でふ化するようになっているのです。
卵は楕円型のつやのある乳白色で、約0.5mmほどの大きさ。
よく注視しないと見えません。
メスのノミは1匹につき、1日20~50個の卵を産みます。
卵はわずか1~6日でふ化するので、1週間後には幼虫が20~50匹産まれることになります。
もしメスのノミ10匹が産卵すれば、幼虫は200~500匹というおそろしいことに!
ノミを大量繁殖させないためには、卵を駆除することが非常に重要なのです。
卵の時点で繁殖を食い止めましょう。
【幼虫の特徴】2度脱皮する変身じょうず
幼虫の特徴 | |
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大きさ | 第1齢幼虫では2.0mm程度、第3齢幼虫では4.0~5.0mm程度 |
色・形 | 白く細長いウジ状 |
好適な環境 | 温度20~30℃、湿度70%以上 |
幼虫の期間 | 1~2週間 |
主なエサ | 成ノミのフン、人の食べこぼし、共食いすることもある |
卵からふ化したノミの幼虫は、白く細長いウジ状の形をしています。
高温が苦手な卵とは逆に、幼虫は高めの温度と湿度が好環境。
そのため、タタミやカーペット、ソファなどの湿気の多い暗い場所にいることが多いです。
主なエサは、成虫ノミのフンや人の食べこぼしなど。
エサが不足している場合は、幼虫同士で共食いすることもあります。
幼虫は、1~2週間で2度脱皮をし、第1齢・第2齢・第3齢の過程を経てサナギになるのです。
幼虫にエサを与えないよう、部屋の掃除をしましょう。
【サナギの特徴】サナギはかくれんぼがうまい
サナギの特徴 | |
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大きさ | 約3.0~5.0mm |
色・形 | 白色の卵型 |
好適な環境 | 温度24~32℃、湿度78~80% |
サナギの期間 | 1~2週間 |
ノミの幼虫は、2度の脱皮をした後サナギになります。
サナギは口から吐き出す糸で繭(まゆ)を作り、繭の中で蛹化(ようか)をするのです。
繭は粘着性があり、チリやホコリなどをくっ付け周囲の風景に溶け込むので、見つけづらいのが特徴。
タタミやカーペットで繁殖することが多いので、チリやホコリをためないようにしましょう。
サナギは比較的高めの温度と湿度で育ち、1~2週間でう化します。
二酸化炭素、振動、熱、圧力など外部からの刺激を受けることで繭から目覚め、動物が放つ音・熱・二酸化炭素などに反応して寄生するのです。
サナギは見つけにくいから、掃除を徹底してね。
【成虫の特徴】2日で産卵!あっという間に大繁殖
成虫の特徴 | |
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大きさ | 約2.0~3.0mm |
色・形 | 褐色のへんぺい型 |
好適な環境 | 温度18~27℃、湿度75~85% |
成虫の期間 | 約2~4カ月 |
主なエサ | 動物の血液 寄生すると10分以内に吸血し始める |
ノミは成虫になると、動物に寄生し吸血します。
幼虫は成虫のフンや人の食べこぼしなどを食す雑食性でしたが、成虫のエサは動物の血液のみ。
寄生すると10分以内に複数個所を吸血し、さらに2日以内に産卵します。
1日平均20~50個を毎日産み続けるので、非常に繁殖力が高くやっかいです。
成虫ノミに噛まれると、強いかゆみが出るだけでなく、感染症やアレルギー症状も引き起こします。
市販薬ではなかなか症状が緩和しませんので、皮膚科でちゃんとした薬を処方してもらってください。
症状は1カ月以上続くこともあるので、ノミを見つけたらすぐに駆除しましょう。
次は、ノミの基本的な生態を理解しましょう。
ノミの生態と病害について
【ノミの生態】ノミは繁殖力と生命力が高い
ノミの生態 | |
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分類 | 昆虫綱・ノミ目 |
種類 | ネコノミ、イヌノミ、ヒトノミ |
生息場所 | 【屋外】公園、河川敷、草むらの多い場所 【屋内】犬や猫に寄生。タタミ、カーペット、家具の下など |
発生時期 | 7月から9月がもっとも活発 13℃以上あれば冬でも活動する |
産卵 | 1日平均20~50個 一生に数百個~数千個の卵を産む |
主な病害 | ノミ刺咬症、ノミアレルギー性皮膚炎、猫ひっかき病、瓜実条虫症(うりざねじょうちゅうしょう)など |
日本では約70種類いると言われているノミですが、人や犬猫に寄生するノミは、ネコノミ、イヌノミ、ヒトノミです。
しかし、現代は衛生環境が良くなったため、ヒトノミやイヌノミはほとんど見られなくなりました。
現在、日本で見られるノミはほとんどがネコノミです。
ノミの繁殖がもっとも盛んな時期は、7月~9月の夏場ですが、環境が良ければ冬でも繁殖することができます。
一匹のノミが生涯に産卵する数は、数百個〜数千個とも言われ、繁殖力が非常に高いです。
また、飢餓にも強く、吸血していない状態で半年以上生き延びることができる生命力の強さを持っています。
【ノミの病害】かゆみの他にもさまざまな症状がある
ノミのもっとも一般的な病害は、やはりかゆみでしょう。
ノミによる主な病害や症状を、以下にまとめました。
主な病害 | 主な症状 |
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ノミ刺咬症 | かゆみ、紅斑(こうはん)、丘疹(きゅうしん)、水疱(すいほう)など |
ノミアレルギー性皮膚炎 | かゆみ、紅斑、丘疹、水疱、アレルギーの発症など |
猫ひっかき病 | リンパ節炎、発熱、全身倦怠、関節痛など |
瓜実条虫症 (うりざねじょうちゅうしょう) | 基本的に無症状 重症の場合、下痢や腹痛、体重減少など |
ノミの病害は、治るのに数週間~数カ月と長期間になることがあるので、ノミを見つけたときは繁殖する前にすぐに駆除しましょう。
また、市販薬や自己判断では治りが遅くなることもあります。
ノミに噛まれたら、必ず皮膚科へ行って診てもらってくださいね。
ノミが繁殖してしまったときの対処法は、次に説明します。
ノミが繁殖してしまったときの対処方法
- 部屋の掃除をする
- 殺虫剤・くん煙剤を使う
- 布製品は熱駆除する
- ペットにはノミ駆除剤を使う
ノミは、驚異的なスピードで繁殖してしまうので、早めの対処が必要です。
ノミ一匹見つけたときは、すでに繁殖していると思ったほうが良いでしょう。
次は、ノミが繁殖してしまったときの対処法をご紹介します。
部屋の掃除をする
ノミを見つけたときは、部屋を隅々まで掃除しましょう。
とくに卵や幼虫は、タタミやカーペットの裏、部屋の隅など、広範囲に生息しています。
また、サナギはチリやホコリをくっ付けてカモフラージュしているので見つけづらいです。
そのため、部屋を隅々まで掃除することは必要不可欠。
掃除機やコロコロで、ゴミと一緒にノミを取り除きましょう。
注意点として、掃除の際はノミを潰さないよう気をつけてください。
メスのノミの場合、潰すと卵が飛び散って繁殖することもありえます。
また、掃除機のゴミパック内で繁殖するおそれもあるので、吸い取ったゴミはすぐにゴミ袋に移してくださいね。
ペットがよく居座る場所は清潔にね!
殺虫剤・くん煙剤を使う
ノミの駆除には、殺虫剤やくん煙剤が効果的です。
また、繁殖場所が分かっていたら、殺虫スプレーで直接噴射しましょう。
駆除したノミの死骸を掃除機やコロコロで取り除けば完璧です。
ノミがどこにいるか特定できないときは、くん煙剤がおすすめ。
部屋のすみずみまで薬剤が行き渡るので、駆除し損ねることもありません。
殺虫スプレーとくん煙剤を上手に使いましょう。
布製品は熱駆除する
カーペットなどの布製品にノミが繁殖していたときは、熱駆除がおすすめです。
ノミは熱に弱いので、60℃以上の熱で死滅します。
洗濯乾燥機や布団乾燥機、スチームクリーナーなど、60℃以上に設定できるものでノミを駆除しましょう。
また、ノミの卵やサナギは固い殻(から)で覆われているので、60℃で30分以上は熱処理してください。
コインランドリーなら、80℃以上の高温設定もありますよ。
ペットにはノミ駆除剤を使う
ペットの体にノミが繁殖したときは、ペット専用のノミ駆除剤を使いましょう。
ペット用ノミ駆除剤には、スポットタイプ、チュアブルタイプ、スプレータイプなどの種類があります。
もっとも一般的な駆除剤は、スポットタイプ。
首の後ろに液剤を垂らすので、ペットが舐めとる心配もありません。
チュアブルタイプは、おやつ感覚で与えられるので、薬を嫌がるペットに適しています。
スプレータイプは、シュッとひと吹きするだけなのでとてもお手軽です。
どのタイプを使うかは、ペットの性格や好みなどにもよります。
いくつか試してみると良いでしょう。
ノミが付かないよう、日頃からシャンプーやブラッシングでケアしてあげてね。
まとめ
以上、ノミの繫殖力や特徴について説明しました。
ノミの卵が成虫になるまでの期間は、たったの3~5週間。
成長速度がとんでもなく早いことが分かりましたね。
ノミはかゆみだけでなく、さまざまな病害もあるので、繁殖はできるだけ抑えたいもの。
もしノミを見つけたら、殺虫剤やくん煙剤で駆除し、部屋は清潔にしましょう。
ペットには専用のノミ駆除薬が市販されているので、合うものを選んであげてください。
ノミのことをよく理解すれば、繁殖してももう怖くないですね。
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