ダニに天敵はいるの?
ダニの天敵ってどんな生きもの?
ダニの天敵は駆除したほうがいい?
こういった疑問にお答えします。
私たち人間が生活していく中で、衛生害虫(※)として困り者のダニ。
どんなにダニ退治をしても、次から次へと繁殖してキリがない…。
もしかしたら、ダニは最強の生きものなんじゃないかと思ってしまいますよね。
しかし、そんなダニにも実は天敵がいるのをご存じでしょうか。
ダニの天敵は、主にクモやテントウムシ、そして同類のダニなどです。
この記事では、ダニの天敵はどんな生きものなのか、また、駆除の対象かどうかを説明します。
虫の画像がありますので、苦手な人はご注意ください。
え!ダニって天敵がいるの!?
ダニにも天敵はいるんです。
しかし、ほとんどは駆除の必要のない益虫(えきちゅう)ばかりなのでご安心ください。
衛生害虫とは・・・
ヒトに対して直接的な被害を及ぼす虫を衛生害虫と呼びます。
引用元:東京都福祉保健局
益虫とは・・・
何らかの形で人間の生活に役に立つ、昆虫など小動物のことを指していう言葉。
害虫の反対の意味を持つ。
引用元:Wikipedia
ダニの天敵:ダニ2種
- コナダニやチリダニの天敵・ツメダニ【危険!】
- ハダニの天敵・カブリダニ
まずは、ダニを捕食するダニをご紹介します。
ダニには、雑食性や食菌性などがいますが、次に紹介するのは捕食性のダニです。
捕食性ダニは、主にコナダニやチリダニ、ハダニの天敵となります。
また、人への影響として、駆除する必要のないダニと駆除したほうが良い危険なダニがいます。
では、天敵ダニはどんなダニなのかご紹介します。
コナダニやチリダニの天敵・ツメダニ【危険!】
ミナミツメダニの特徴 | |
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体長 | 約0.3~0.5mm |
色 | 淡黄色または淡褐色 |
生息場所 | タタミ、カーペット、布団など コナダニやチリダニなどの発生場所 |
主なエサ | コナダニ、チリダニ、ニクダニなど |
画像 | 画像引用元:名古屋市区役所ホームページ |
コナダニ類やチリダニ類の天敵といえば、ツメダニ類は有名です。
ツメダニは、コナダニやチリダニを捕まえて体液を吸って生きています。
基本的に人を吸血したりしませんが、間違って刺して皮膚炎を起こすことがあるので、注意が必要です。
そのため、人への影響を考えると、ツメダニは駆除したほうが良いでしょう。
ツメダニを発生させないためには、まずエサとなるコナダニやチリダニを繁殖させないこと。
コナダニは、主に食品やタタミに生息するので、日頃から食べこぼしやタタミの掃除はしっかり行いましょう。
チリダニは、布団やソファーなどの布製の家具にいることが多いです。
布製品は洗えないものもありますから、乾燥機や掃除機を上手に使いましょう。
コナダニとチリダニについては、こちらの記事もご覧ください。
ハダニの天敵・カブリダニ
ミヤコカブリダニの特徴 | |
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体長 | 約0.35mm |
色 | 淡黄色 |
生息場所 | 野菜類、果樹類、豆・いも類、茶、草花、観葉植物など |
主なエサ | ハダニ、花粉 |
画像 | 画像引用元:高知県農業技術センター |
チリカブリダニの特徴 | |
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体長 | 約0.45mm |
色 | 赤橙色 |
生息場所 | 野菜類、果樹類、豆・いも類、草花など |
主なエサ | ハダニ、花粉 |
画像 | 画像引用元:Wikipedia |
カブリダニ類は、主にハダニ類の天敵です。
ハダニは、野菜・果樹・花木などほとんどの植物に存在し、葉を食べてしまいます。
花や植木を育てている人は、ハダニの被害を経験したこともあるでしょう。
カブリダニは、天敵ダニとしてハダニを食べてくれる、いわば益虫。
そのため、駆除の必要はありません。
人を刺すこともありませんし、むしろ、居てくれると大変助かる天敵ダニです。
実際、カブリダニは生物農薬(※)として販売されており、農産業では天敵利用に活用されています。
もし、ご家庭でカブリダニ剤を購入するときは、まずハダニの種類を確認してください。
ハダニの種類によっては、カブリダニの捕食対象としない種類もいるので注意しましょう。
カブリダニは葉を食べないから安心してね!
生物農薬とは・・・
農薬としての目的で利用される生きた生物をいう。生物としては、昆虫、線虫、菌類などが中心である。
引用元:Wikipedia
ダニの天敵:クモ3種
- ダニの天敵・ハエトリグモ
- ダニの天敵・イエユウレイグモ
- ダニの天敵・アシダカグモ
ダニの天敵として、クモは有名です。
とくにクモは、ダニの他にも蚊やハエ、ゴキブリまでも食べてくれる頼もしい益虫。
家で見かけるほとんどのクモは、人への害がないので駆除の必要がありません。
では、どんな種類のクモがダニの天敵なのか、紹介します。
ダニの天敵・ハエトリグモ
アダンソンハエトリの特徴 | |
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体長 | オス:約5.0~7.0mm メス:約6.0~9.0mm |
色 | オス:黒色 メス:茶褐色 |
生息場所 | 人家 屋外の壁や塀など |
主なエサ | ダニ、ハエ、コバエ、蚊、ゴキブリ(幼虫)など |
画像 | 画像引用元:Wikipedia |
チャスジハエトリの特徴 | |
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体長 | オス:7.0~11.0mm メス:10.0~12.0mm |
色 | オス:黒に近い褐色 メス:褐色 |
生息場所 | 人家 屋外の壁や塀など |
主なエサ | ダニ、ハエ、コバエ、蚊、ゴキブリ(幼虫)など |
画像 | 画像引用元:Wikipedia |
家の中によく現れるダニの天敵クモといえば、ハエトリグモ類です。
ハエトリグモは徘徊性(はいかいせい)のクモなので、網(あみ)を張らずに家中を歩き回ってエサを探します。
家の中で、ぴょんぴょんジャンプして回る小型のクモを見たことがある人も多いでしょう。
日本の家屋によく見られるハエトリグモ類は、アダンソンハエトリとチャスジハエトリが代表的です。
この2種はダニをはじめ、ハエなどの小型の虫を好んで食べます。
また、成虫のゴキブリは大きいため食べませんが、幼虫は食べてくれる益虫です。
ハエトリグモは害虫を食べてくれる上、クモの巣を張ったりしないので駆除する必要はありません。
むしろ、家の害虫掃除をしてくれるお掃除屋さんだと思って放っておきましょう。
家の中にいるあのクモね!
ダニを食べてくれるなら放っておいても良いね。
ダニの天敵・イエユウレイグモ
イエユウレイグモの特徴 | |
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体長 | 約7.0~10.0mm |
色 | 薄い灰白色または薄い褐色 |
生息場所 | 人家 |
主なエサ | ダニ、コバエ、チャタテムシなどの微小生物 |
画像 | 画像引用元:Wikipedia |
ダニの天敵クモには、イエユウレイグモもいます。
イエユウレイグモは、ダニやコバエ、チャタテムシなどの微小な虫を食べてくれる益虫です。
その名の通り、幽霊のような白い体に細長い脚を持った見た目をしています。
名前と見た目から気味悪く思う人もいますが、イエユウレイグモは人への害はありません。
他のクモよりも比較的ゆっくり動く、大人しい性格の持ち主です。
イエユウレイグモ自体は駆除する必要はありませんが、壁や天井に網を張ってエサを捕獲するので、クモの巣の除去は必要かもしれません。
見かけたときは放っておくか、外に逃がしてあげてください。
クモの巣を作られるのが嫌な人は、逃がした後にクモの巣専用のスプレーなどで予防しましょう。
ダニを食べてくれるのはありがたいけど、クモの巣を張られるのはちょっと…
ダニの天敵・アシダカグモ
アシダカグモの特徴 | |
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体長 | オス:10.0~25.0mm メス:20.0~30.0mm ※脚を伸ばすと約100.0mm~150.0mm程 |
色 | 灰褐色 |
生息場所 | 人家 納屋、蔵などの建物内 |
主なエサ | ダニ、蚊、ハエ、ガ、ゴキブリなど |
画像 | 画像引用元:Wikipedia |
アシダカグモも、ダニを食べてくれる天敵クモです。
ハエトリグモと同様、徘徊性で網を張らず、待ち伏せをしてエサを捕まえます。
ただ、ハエトリグモと大きく異なるのは、アシダカグモの見た目。
アシダカグモは、家屋で見られるクモとしては大型で、その見た目は衝撃的です。
家の中で見かけたことがある人は、かなり驚いたことでしょう。
見た目が少々残念なため、避けられがちなアシダカグモですが、人への害はありません。
むしろ、臆病な性格のため、人が近づくと逃げていきます。
また、アシダカグモの良いところは、成虫のゴキブリも食べてくれること。
そのため、害虫退治に関しては、ハエトリグモより頼もしいクモなのです。
アシダカグモを見つけたときは、駆除せずに優しく外に逃がしてあげましょう。
脚まで測ると15センチもあるの!?大きい!
ダニの天敵:その他の虫2種
- マダニの天敵・オオヤドリカニムシ
- ダニの天敵・ダニヒメテントウ
ダニやクモの他にも、まだまだダニの天敵となる虫がいます。
とくに注目したいのが、マダニの天敵・オオヤドリカニムシ。
人にとって危険なあのマダニにも、実は天敵がいたのは驚きの事実ですね。
また、私たちの身近にいるテントウムシもダニの天敵。
ハダニを食べるテントウムシ2種にもご注目ください。
マダニの天敵・オオヤドリカニムシ
オオヤドリカニムシの特徴 | |
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体長 | 約4.5~7.0mm |
色 | 赤褐色 |
生息場所 | 土の中 ネズミやマルハナバチの巣穴 |
主なエサ | ダニ、トビムシ |
画像 | 画像引用元:森林総合研究所 |
オオヤドリカニムシは、近年マダニの天敵として報告されたカニムシ類の一種です。
主に土の中のネズミに寄生し、ダニやトビムシなどの小型節足動物をエサとして捕食しています。
日本ダニ学会では、「オオヤドリカニムシによるマダニの捕食を初めて観察した」という報告がありました。
人にとって非常に危険なマダニを食べてくれるので、ありがたい存在ですね。
そんな益虫・オオヤドリカニムシは、見た目がとても印象的です。
触肢(しょくし)と呼ばれるサソリの尻尾のようなハサミが特徴的で、なかなかイカつい姿をしています。
見るからに毒を持っていそうな雰囲気ですが、オオヤドリカニムシに毒はなく、人にも無害です。
基本的に屋内にはいませんので、野外で見つけたときは駆除せず放っておきましょう。
マダニキラーとして、今後の活躍に期待しましょう。
ダニの天敵・ダニヒメテントウ
ハダニクロヒメテントウの特徴 | |
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体長 | 約1.0~2.0mm |
色 | 黒色 |
生息場所 | リンゴやナシなどの果樹に見られる |
主なエサ | ハダニ類、その他のダニ |
画像 | 画像引用元:農研機構 |
キアシクロヒメテントウの特徴 | |
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体長 | 約1.0~2.0mm |
色 | 黒色 頭部に黄褐色の部分がある |
生息場所 | リンゴやナシなどの果樹に見られる |
主なエサ | ハダニ類、その他のダニ |
画像 | 画像引用元:農研機構 |
ダニの天敵として、ダニヒメテントウ類もダニを食べます。
テントウムシは、肉食性・菌食性・草食性の3種類に分かれ、ダニを捕食するのは肉食性のテントウムシです。
とくに、肉食性のダニヒメテントウは、農業の害虫・ハダニを捕食することで知られています。
また、ハダニ以外にもカブリダニやナガヒシダニなど、さまざまなダニ類を食べるので、ダニヒメテントウは益虫として有用とされています。
ハダニを捕食する代表的なダニヒメテントウ類は、ハダニクロヒメテントウとキアシクロヒメテントウの2種類。
この2種は見た目が非常に似ているため、識別がむずかしいですが、どちらも駆除する必要はありません。
黒いテントウムシは、ダニ駆除班だと思って放っておきましょう。
お馴染みのナナホシテントウムシはアブラムシが主食ですが、ハダニも食べるそう。
まとめ
- コナダニやチリダニの天敵・ツメダニ【危険!】
- ハダニの天敵・カブリダニ
- ダニの天敵・ハエトリグモ
- ダニの天敵・イエユウレイグモ
- ダニの天敵・アシダカグモ
- マダニの天敵・オオヤドリカニムシ
- ダニの天敵・ダニヒメテントウ
以上、ダニの天敵を紹介しました。
今回ご紹介したダニの天敵たちはほんの一部ですが、いろんな生きものがいましたね。
中には、ちょっと怖そうな虫もいましたが、基本的に人に害のない益虫ばかり。
唯一、ツメダニだけ気を付けていれば怖くはありません。
ダニの天敵たちは、ダニを食べてくれる頼もしい味方なので、駆除せず温かく見守りましょう。
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