ハダニってどんなダニ?
ハダニはどこに発生するの?
ハダニが起こす被害や予防法が知りたい!
こういった悩みにお答えします。
家の中や庭を華やかにするだけでなく、見ているだけでも癒される、ガーデニングや観葉植物。
しかし、いつの間にか葉の色が悪くなったり白い斑点が出てきたりして、驚く人もいるのではないでしょうか。
それは、ハダニが原因です。
ハダニは、さまざまな植物の葉に寄生し、植物を弱らせる害虫。
ハダニを放置しておくと、大切な植物を枯らしてしまうだけでなく、あらゆる植物への被害が広がっていきます。
ハダニが発生してしまっても落ち着いて対処できるように、ハダニの生態や被害、予防法など徹底的に解説します。
ハダニが加害する植物や発生しやすい場所、予防方法などを知り、大切な植物を守りましょう。
ハダニの生態
大きさ | 約0.3~0.5mm |
活動時期 | 3月頃~10月頃まで |
発生場所 | あらゆる植物の葉 |
休眠性 | 種類によって、あり |
ハダニは、名前のとおりダニの1種で、クモの仲間に分類されます。
体長は、約0.3~0.5mmほどと小さく、見つけにくい害虫なので、気づかないことがほとんど。
庭で育てている草花や樹木、野菜の葉や果樹などさまざまな植物に寄生し、植物を弱らせます。
ハダニは、繁殖力も非常に強いです。
主にダニは、交尾をして卵を産み繁殖していきますが、ハダニは交尾をしなくても卵を産みます。
交尾せずに産まれるのはオスの卵のみで、交尾すると産まれるのがメスの卵のみ。
交尾の有無関係なしに、1匹いるだけでハダニの数は増えていくので、大量発生しやすいです。
発生時期は、暖かくなる3月から発生しはじめ、寒くなり始める10月頃まで活動します。
休眠性も兼ねており、冬になると成長や繁殖を一時的に止めて、越冬するハダニもいるのです。
被害を与えるハダニ4種類
ハダニは、70種類も存在しています。
野菜や果物などの商品価値を下げてしまい、多くの農家さんたちを悩ませるハダニ。
中でも、加害する代表的なハダニ4種類をご紹介します。
- ナミハダニ
- カンザワハダニ
- リンゴハダニ
- ミカンハダニ
ナミハダニ
加害する植物 | ・ほとんどの果樹 ・ナス科・ウリ科の野菜 ・雑草や草花 など |
被害の特徴 | ・白い小さな斑点や褐色 ・落葉 |
休眠 | なし |
ナミハダニは、寄生範囲が広く、ほとんどの果樹に寄生します。
さらに、ナス科やウリ科の野菜、草花や雑草など、さまざまな植物に寄生。
ハダニの中でもダントツに繁殖力が強いのが、ナミハダニです。
主に葉裏に発生して、吸汁加害します。
短期間で大量に繁殖するため、1度発生してしまうと果樹や野菜への被害が広がりやすいです。
カンザワハダニ
加害する植物 | ・お茶の葉 ・ナス科・ウリ科の野菜や果物 ・マメ科の作物 ・イチゴ など |
被害の特徴 | ・白い小さな斑点や葉全体の褐色 ・落葉 ・枯れる |
休眠 | あり |
カンザワハダニは、お茶の葉、ナス科やウリ科の野菜、マメ科の作物、イチゴなどに寄生します。
カンザワハダニの被害が進むと、葉が枯れて、植物や作物が育成不良になってしまいます。
卵から成虫になるまでの期間が、約10~17日程度と短く、短期間で爆発的に繁殖。
繁殖し密度が高まると、メスは糸を出しながら移動するので、葉や茎が糸で覆われた状態になります。
ミカンハダニ
加害する植物 | ・ミカンなどの柑橘類 ・ナシ・モモなどの果樹 ・イヌツゲやキンモクセイ など |
被害の特徴 | ・葉の全体が白っぽくなる ・早期に落葉 ・葉肉崩壊症 |
休眠 | なし |
ミカンハダニは、主にミカンなどの柑橘類に寄生するハダニです。
柑橘類の他にも、ナシやモモなどの果樹、イヌツゲやキンモクセイなどにも寄生。
加害されると、葉肉崩壊症になりやすく、葉の数が少なくなります。
(※ 葉肉崩壊症とは、葉が黄緑色になり、褐色し、落葉すること)
ミカンなどの果実は、着色や光沢が悪くなり、品質も低下。
特に、施設栽培での被害が大きいのが、ミカンハダニです。
また、休眠はしないので、暖かい環境であれば1年中発生し続けます。
リンゴハダニ
加害する植物 | ・リンゴ、ナシ、モモ、スモモなどのバラ科の果樹など |
被害の特徴 | ・葉表に白い斑点、葉裏は褐色 ・葉全体が白くなる ・葉焼け ・果実肥大 |
休眠 | あり(卵で冬越) |
リンゴハダニは、リンゴやナシ、モモ、スモモなどのバラ科の果樹に寄生します。
草花や雑草などに寄生することはありません。
葉の表裏に寄生し、被害が拡大すると、着色や花芽形成、果実の肥大、糖度などに被害が及びます。
リンゴなどに寄生したリンゴハダニの卵は、冬越する際に「ていあ部」に多数で密集。
(※ ていあ部とは、がくが付いているへこんだ部分)
リンゴハダニの卵は、冬越する時期は赤色になり、活動時期になると橙色に変わります。
成虫も、体が暗い赤色で背面には毛が生えていて、毛の生え際に白いコブがあり、見た目が特徴的です。
ハダニが好む環境と生息しやすい場所
ハダニは、短期間で繁殖しやすい好条件な環境があります。
ハダニが好む環境と、生息しやすい場所を解説します。
好む環境
- 高温(20℃~30℃)
- 乾燥(60%以下)
ハダニは、乾燥した暖かい環境を好みます。
ダニって、梅雨時期とか湿度が高い環境を好むんじゃないの・・・?
家の中に発生するチリダニやツメダニなどの種類は、60%以下の乾燥した環境だと繁殖できなくなります。
逆にハダニは、60%以下の乾燥した環境で、活発に繁殖。
梅雨明けから秋にかけて活発になり、寒くなる冬になるまで活動を続けます。
生息しやすい場所
- 軒下など雨が当たらない場所
- ベランダのプランター栽培
ハダニは、乾燥した環境を好むため、軒下やベランダなど雨の当たらない場所に発生しやすいです。
軒下やベランダで育てている植物は、ハダニが発生しないようにこまめな手入れが必要です。
また、ハダニは糸を出し風に乗って移動することもできるので、いろんな場所に生息します。
ハダニがいないからと安心していても、いつの間にかハダニが住みついている、なんてことも。
いろんな場所から移動してくるので、ハダニの発生原因を突き止めることは難しいです。
ハダニはクモのように糸を出すことから、英名で「Spider mite(スパイダー・マイト)」と呼ばれています。
ハダニの被害
- 葉の色が悪くなる
- 葉が枯れる
- 落葉
- 育成不良
- 果物や野菜の色が悪くなる
ハダニは、植物の葉裏に寄生し、植物の汁を吸い取る「吸汁加害」します。
植物に寄生するダニは、「ハダニ科」、「フシダニ科」、「ホコリダニ科」、「コナダニ科」などです。
植物寄生するダニの中でも、ハダニ科に属するハダニ類は、植物や農作物の被害が大きいことで知られています。
植物に寄生し加害されると、葉の汁が吸われた箇所が白くなり、白い斑点がいくつか出てきます。
さらにハダニが繁殖し、葉の汁がどんどん吸われると、白いカスリ状になり葉の色が悪化。
被害が大きくなると、葉の色が悪くなるだけでなく、落葉したり枯れてしまったりも。
また、作物などの育成にも大きく影響が出てきます。
リンゴや梨、柑橘類などに寄生すると、葉焼けや葉肉崩壊症となり、育成不良になってしまいます。
加害されると、作物の商品価値を下げてしまうので、農家さんたちを悩ませる厄介な害虫です。
ハダニの対策方法
ハダニは、交尾をせずとも増えることができるので、被害が小さいうちに対策しなければなりません。
ハダニが少数発生した場合、大量発生した場合の対策方法を徹底解説します。
また、ハダニを発生させない予防方法もご紹介しますので、ぜひ参考にしてみてください。
ハダニが少数発生した場合
ハダニが少数発生した場合は、薬剤を使わなくても駆除できます。
主な方法は、3つです。
- たっぷり葉水する
- セロハンテープやガムテープを使う
- 木酢液(もくさくえき)を吹きかける
たっぷり葉水する
ハダニは、乾燥を好むため、水が苦手です。
定期的に葉全体に水をかけることで、繁殖を抑えられます。
また、ハダニの卵や少ない成虫であれば、水で流すこともできるので、少数発生の場合は葉水が効果的です。
セロハンテープやガムテープを使う
ハダニの発生が少数の場合は、セロハンテープやガムテープで取り除くことができます。
セロハンテープやガムテープにくっつけるだけなので、簡単な方法です。
木酢液を吹きかける
木酢液を約10倍水で薄めたものを、スプレーボトルに入れてから、葉裏や葉全体に吹きかけてください。
木酢液は、害虫対策や植物の育成を良くしてくれる効果があります。
ハダニの駆除もできて、植物にとっていい効果があるので、嬉しいですよね。
木酢液がない場合は、お酢でも効果があります。
ハダニが大量発生した場合
ハダニが大量発生した場合は、薬剤を使って駆除しましょう。
また、家の中にある身近なもので駆除するなら、牛乳が1番効果的です。
- 薬剤を使用する
- 牛乳を2~3倍水で薄めたもの吹きかける
薬剤を使う
ハダニが大量発生した場合は、薬剤を使って駆除するのが効果的です。
植物の種類や被害状況、育成環境など、植物に合った薬剤を使用しましょう。
薬剤の中でも、でんぷんを主成分とした薬剤は、自然や植物にもやさしくできているので、安全性が高いです。
ハダニは、同じ薬剤を使い続けると、耐性が付いてきます。
同じ薬剤を使って効果がなくなってきた場合は、違う種類に薬剤を使用してください。
牛乳を2~3倍水で薄めたものを吹きかける
身近なアイテムで、ハダニを駆除できるのが、牛乳です。
牛乳が乾くと、ハダニを窒息させる効果が。
牛乳を2~3倍薄めたものをスプレーに入れて、ハダニが発生している箇所に吹きかけてください。
牛乳が乾いた後は、腐敗の原因となってしまうので、きれいに洗い流しましょう。
ハダニの予防方法
- 定期的に葉水する
- ハダニの天敵を利用する
ハダニは水に弱いので、定期的に葉裏や葉全体をスプレーで葉水しましょう。
葉裏を重点的に葉水することで、ハダニの発生予防になります。
雨が降っている時に、外に出しておくと自然と雨で濡れるので、葉水の手間いらずです。
葉水は、ハダニ予防効果が1番あるので、日々の日課にしてみてください。
また、ハダニの天敵となる「ケシハネカクシ」を利用するのも1つの方法です。
ケシハネカクシは、ハダニが発生しやすくなる時期に現れ、ハダニを食べてくれる虫です。
ケシハネカクシは、ハダニの卵を1日で100個ほど食べてくれるそう。
ハダニの天敵となる虫は、他にも「ミヤコカブリダニ」や「ハダニアザミウマ」、「ハダニクロヒメテントウ」がいます。
ハダニが発生しやすい時期は、ハダニの天敵の虫を放飼する農家さんも。
ケシカネカクシやミヤコカブリダニなどは、害虫対策として、通販で売られているほど貴重な存在です。
まとめ|ハダニから大切な植物を守ろう
- ハダニは3月頃~10月頃まで活動
- 乾燥した暖かい環境を好む
- 繁殖力は非常に強い
- 雨が当たらない軒下やベランダに発生しやすい
- 少数発生、被害は小さいうちに駆除する
- 水に弱いので、定期的に葉水して予防する
植物の育成を妨げ、大切な植物に加害するハダニ。
ハダニは繁殖力が非常に強いので、あっという間に増殖し被害が広がります。
ハダニが大量発生しないように、定期的に葉水して、ハダニの発生を予防しましょう。
しっかりと予防・対策をして、大切な植物を守ってくださいね。
コメント