猫用のマダニ駆除薬はどんなものがあるの?
マダニの感染症は猫も人も危険なの?
マダニはどうやって予防すればいい?
こういった悩みにお答えします。
マダニ予防のため、愛猫に薬をあげたいけど嫌がって飲んでくれない…。
警戒心が強い猫は、はじめて見る錠剤やカプセル剤などの薬は飲んでくれないことが多いですよね。
猫にマダニ駆除薬を与えるなら、スポットタイプがおすすめです。
首のうしろに薬液をたらすだけなのでとっても簡単!
今回は、スポットタイプの猫用マダニ駆除薬を6つご紹介します。
また、マダニの感染症は猫にも人にもうつり、とても危険。
死亡例もある怖い病気なので、記事を読めばマダニの感染症と予防法も理解できますよ。
今回紹介する駆除薬は、どれもよく知られている人気商品ばかり。
ネットでも購入できるので、お買い求めやすいですよ。
マダニについて知りたい人はこちらの記事をご覧ください。
【スポットタイプ】猫用マダニ駆除薬6選
- フロントラインプラス(動物用医薬品)
- ベッツワン キャットプロテクトプラス(動物用医薬品)
- マイフリーガードα(動物用医薬品)
- フィプロスポットプラス(動物用医薬品)
- 薬用ショットオン(動物用医薬部外品)
- 薬用ペッツテクト+ フォースガード(動物用医薬部外品)
猫のマダニ駆除薬には、スポットタイプ、チュアブル錠タイプ、スプレータイプなどがありますが、もっとも主流なのはスポットタイプです。
猫は慎重派のため、はじめてのチュアブル錠タイプは嫌がったり食べてくれなかったりします。
スプレータイプにしても、きれい好きな猫は舐めとってしまいがちです。
しかし、スポットタイプなら少量の薬液を首のうしろの皮膚にたらすだけ。
一瞬で終わるので、嫌がったり舐めとったりする心配もありません。
便利なスポットタイプの中で、おすすめの駆除薬をご紹介します。
駆除薬には、「動物用医薬品」と「動物用医薬部外品」の2種類があります。
1.フロントラインプラス(動物用医薬品)
メーカー | ベーリンガーインゲルハイム アニマルヘルス ジャパン株式会社 |
有効成分と含有量 | フィプロニル 100.0mg/1mL中 (S)-メトプレン 120.0mg/1mL中 |
効能・効果 | ノミ、マダニ及びハジラミの駆除 ノミ卵のふ化阻害及びノミ幼虫の変態阻害によるノミ寄生予防 |
使用年齢 | 8週齢から |
フロントラインプラスは、従来品・フロントラインスポットオンの新商品です。
ノミ・マダニの駆除に加え、ハジラミの駆除、ノミの卵や幼虫の成長を阻害できるようになりました。
一つの駆除薬で効能の幅が広くなったのは、猫にもお財布にもうれしいことですね。
マダニは吸血開始後、48時間以上すると感染症の確率が高くなると言われています。
フロントラインプラスは、ほとんどのマダニを48時間以内に駆除することができるので、感染リスクを抑えてくれるのです。
有効成分は水に溶けにくく、さらに24時間以内に薬剤が行きわたるので、猫のシャンプーや水浴などの制限もほとんどありません。
また、従来品は生後12週の猫からの使用でしたが、フロントラインプラスは生後8週の子猫からも使えるようになり、年齢制限の幅も広がりました。
感染の確率が高くなる前に効果がでるのはありがたいね。
2.ベッツワン キャットプロテクトプラス(動物用医薬品)
メーカー | ベーリンガーインゲルハイム アニマルヘルス ジャパン株式会社 |
有効成分と含有量 | フィプロニル 100.0mg/1mL中 (S)-メトプレン 120.0mg/1mL中 |
効能・効果 | ノミ、マダニ及びハジラミの駆除 ノミ卵のふ化阻害及びノミ幼虫の変態阻害によるノミ寄生予防 |
使用年齢 | 8週齢から |
キャットプロテクトプラスは、フロントラインプラスのジェネリック医薬品です。
ジェネリック医薬品のため、フロントラインプラスよりも低価格で購入することができます。
安価ですが、有効成分や含有量、効能・効果は変わりません。
ノミ・マダニの成虫の駆除、ノミの卵や幼虫の成長をしっかり阻止してくれます。
お財布にやさしい上に、効果が劣らないのはお得ですね!
また、キャットプロテクトプラスのピペットは立てておける自立型なので、滴下の準備がしやすいのも特徴。
さらに、液だれ防止機能が備わっているので、投与しやすいつくりです。
失敗しづらいので、猫にはじめて駆除薬を投与する人も安心して使っていただけます。
薬の投与がはじめての人におすすめ!
3.マイフリーガードα(動物用医薬品)
メーカー | フジタ製薬 |
有効成分と含有量 | フィプロニル 100.0mg/1mL中 (S)-メトプレン 120.0mg/1mL中 |
効能・効果 | ノミ、マダニ及びハジラミの駆除 ノミ卵のふ化阻害及びノミ幼虫の変態阻害によるノミ寄生予防 |
使用年齢 | 8週齢から |
マイフリーガードαは、従来品・マイフリーガードの新商品です。
有効成分「フィプロニル」に加え、「(S)-メトプレン」を配合しています。
ノミ・マダニの駆除に加え、ハジラミの駆除、ノミの卵や幼虫の成長を阻害も対応できるようになりました。
注意点として、投薬後2日間はシャンプーや水浴は控えましょう。
投与後すぐにシャンプーしてしまうと、薬の効果が得られなかったり、持続時間が短くなる可能性があります。
2日間だけシャンプーを避ければ、薬の効果に影響はありません。
マイフリーガードαでは、薬の投与日を知らせてくれる「投薬日お知らせサービス」を実施しています。
定期的にメールで知らせてくれるので、投薬し忘れもなくとても便利なサービスです。
薬の投薬日は忘れてしまいがちなので、ありがたいサービスですね。
4.フィプロスポットプラス(動物用医薬品)
メーカー | 共立製薬株式会社 |
有効成分と含有量 | フィプロニル 100.0mg/1mL中 (S)-メトプレン 120.0mg/1mL中 |
効能・効果 | ノミ、マダニ及びハジラミの駆除 ノミ卵のふ化阻害及びノミ幼虫の変態阻害によるノミ寄生予防 |
使用年齢 | 8週齢から |
フィプロスポットプラスは、フィプロスポットの新商品です。
フィプロスポットプラスは、ピペットの形状が特徴的。
ピペットの先端が丸いので、猫の皮膚に触れても痛くないやさしい設計になっています。
また、外箱やピロー包装はサイズごとに色分けされていて、薬を与えまちがえる心配もありません。
2匹以上猫を飼っている人にはありがたい工夫ですね。
また、従来品・フィプロスポットの有効成分「フィプロニル」に加え、「(S)-メトプレン」が配合されました。
ノミ・マダニの駆除に加え、ハジラミの駆除、ノミの卵や幼虫の成長も阻害してくれます。
さらに、使用年齢も12週齢から8週齢へと下がり、使える年齢層も広がりました。
あばれる猫はピペットの先端で傷つけるおそれがあるからうれしい設計ですね。
5.薬用ショットオン(動物用医薬部外品)
メーカー | アース・ペット |
有効成分 | フェノトリン ピリプロキシフェン |
その他成分 | 中鎖脂肪酸トリグリセライド、他 |
効能・効果 | 猫に寄生するノミ、マダニの駆除及び蚊の忌避 |
使用年齢 | 生後3カ月から |
薬用ショットオンは、ペットケア用品を手がけるアース・ペットのブランド商品です。
有効成分「フェノトリン」と「ピリプロキシフェン」が、ノミ・マダニの駆除や蚊の忌避効果をもたらします。
滴下後はすばやく広がり、すみずみまで行きわたる拡散力です。
生後3カ月からの幼猫にも使え、薬の持続時間は約1カ月。
また、食品原料を使用した低臭処方で、匂いが少ないのも特徴。匂いに敏感な猫も安心ですよ。
薬用ショットオンは、マダニ駆除薬の中では比較的安価なので、お求めやすいのもありがたいですね。
猫の嗅覚は人の数万~数十万倍ともいわれているよ。
6.薬用ペッツテクト+ フォースガード(動物用医薬部外品)
メーカー | キャティーマン(CattyMan) |
有効成分 | フェノトリン ピリプロキシフェン dl・d‐T80‐アレスリン |
その他成分 | ピペロニルブトキサイド |
効能・効果 | 猫に寄生するノミ、マダニの駆除及び蚊の忌避 |
使用年齢 | 記載なし |
薬用ペッツテクト+ フォースガードは、薬用ペッツテクト+の新商品です。
従来品の有効成分は3種類でしたが、薬用ペッツテクト+フォースガードは4種の成分を配合しパワーアップしています。
殺虫効果の「フェノトリン」と、すばやくノックダウンさせる「dl・d‐T80‐アレスリン」が駆除し、「ピリプロキシフェン」が昆虫の成長を抑制。
そして、新成分の「ピペロニルブトキサイド」が、共力剤として殺虫剤の効果を高めます。
また、薬用ペッツテクト+フォースガードは、従来品よりもノミ・マダニの効果、蚊の忌避効果が上がったことを評価。
猫のマダニ対策がより期待できますね。
薬の有効性が上がってくれたら、マダニもこわくなくなるね。
【猫も人も危険!】マダニの感染症4つ
- 【人獣共通】重症熱性血小板減少症候群(SFTS)
- 【人獣共通】ライム病
- 【猫特有】ヘモプラズマ感染症(猫伝染性貧血)
- 【犬特有】バベシア症
さまざまな感染症を媒介する、とても危険なマダニ。
マダニは動物の血液がエサであるため、寄生する対象は猫、犬、そして人です。
猫や犬、人がマダニに噛まれると、どのような感染症が起こるのでしょうか。
次は、主なマダニの感染症を紹介します。
人獣共通・猫特有・犬特有のマダニ感染症を紹介します。
【人獣共通】重症熱性血小板減少症候群(SFTS)
潜伏期間 | 6~14日 |
主な症状(人) | 発熱、吐き気・おう吐・下痢などの消化器症状 腹痛、筋肉痛、リンパ節腫脹、神経症状、出血症状など |
主な症状(猫・犬) | 元気がない、食欲不振、黄疸(おうだん) 、発熱、おう吐、下痢など |
致死率 | 人:10~30% 猫:60~70% 犬:29% |
治療法 | 有効な治療法やワクチンはない 対症療法のみ |
重症熱性血小板減少症候群(SFTS)は、猫や犬、人にもうつる人獣共通のマダニ感染症です。
症状は人も猫もほぼ同じですが、猫は人より黄疸(おうだん)が多く、下痢症状は少ないことが見られます。
致死率は、人では10~30%、猫では60~70%、犬では29%となり、猫がもっとも高いです。
猫同士での感染も考えられるので、多頭飼いしている人は要注意。
人の感染は、NIID国立感染症研究所より感染者763人のうち92人の死亡例(2022年7月31日現在)の報告がありました。
人にとってもたいへん危険な感染症ですね。
現在、有効な治療法やワクチンはなく、症状を和らげるための対症療法のみ。
予防することがなによりのマダニ対策です。
2017年4月和歌山県で、はじめて猫にSFTSの発症が見つかったそうです。
【人獣共通】ライム病
潜伏期間 | 3~32日 |
主な症状(人) | 遊走性紅斑(ゆうそうせいこうはん)、発熱、リンパ節腫脹、関節痛、慢性関節炎、慢性脳脊髄炎など |
主な症状(猫・犬) | 発症することはまれ 発症した場合、元気がない、食欲不振、発熱、歩行異常、神経症状など |
治療法 | 抗菌薬による治療が有効 ワクチンはない |
ライム病も、猫や犬、人にもうつる人獣共通のマダニ感染症です。
人が感染すると、刺された部位が赤く腫れる遊走性紅斑(ゆうそうせいこうはん)があらわれます。
また、人も猫・犬も発熱や関節炎、神経症状などがありますが、猫や犬が発症することは少ないです。
ライム病の特徴は、症状が治ったあとでも後遺症が残るおそれがあり、治療が長引くこともあります。
治療には、抗菌薬の投与が有効ですが、ワクチンは現在ありません。
人もペットもマダニ予防はしっかりやりましょう。
ライム病は、とくに北海道での感染が多く報告されています。
【猫特有】ヘモプラズマ感染症(猫伝染性貧血)
病原体 | ヘモプラズマ(マイコプラズマの一種) |
主な症状 | 貧血、発熱、元気消失、食欲不振、黄疸、脾臓(ひぞう)が腫れる、呼吸が早いなど |
治療法 | 抗生剤の投与 重症の場合は、点滴や輸血なども ワクチンはない |
ヘモプラズマ感染症(猫伝染性貧血)は、猫特有のマダニ感染症です。
主な症状は、貧血。
細菌のヘモプラズマが、猫の赤血球に寄生し破壊するため血液が足りない状態になります。
また、免疫反応により発熱するため、元気がなかったり食欲不振になることも。
貧血がひどくなると、造血器官の脾臓(ひぞう)が腫れたり、粘膜や皮膚の黄疸が見られます。
さらに重症化すると、点滴や輸血が必要になり、命に関わることもあるのです。
治療には抗生剤の投与が有効ですが、病原体を完全に除去することはできないので、再発の可能性もあります。
猫がヘモプラズマに感染しないためには、マダニ予防が重要です。
ヘモプラズマは、猫同士のケンカによる外傷や母猫からの感染なども感染経路として考えられていますが、確証はありません。
【犬特有】バベシア症
病原体 | バベシア属原虫 |
主な症状 | 貧血、発熱、ビリルビン尿(茶色い尿)、粘膜蒼白、脾臓が腫れる |
治療法 | 抗生剤の投与 重症の場合は、点滴や輸血なども ワクチンはない |
バベシア症は、犬特有のマダニ感染症です。
バベシア属原虫が、犬の赤血球に寄生し破壊をするため貧血症状が起こります。
貧血の他、発熱、粘膜が白っぽくなる、茶色い尿をする、脾臓が腫れるなどの症状も。
貧血や発熱で元気がなくなるため、起きなかったり散歩に行きたがらなかったりします。
治療には、ヘモプラズマ感染症と同様、抗生剤が有効ですが、病原体を完全に除去することはできません。
体力や免疫力が低下したときは再発の可能性もあります。
ワクチンなどの予防薬はありませんので、犬の散歩へはマダニ予防をして行きましょう。
マダニの予防法を次で詳しく説明します。
マダニに感染しないための予防法3つ
- ペットは定期的にケアをする
- 外出時は虫除けスプレーをする
- 肌の露出をひかえた服装を着る
マダニに噛まれないためには、猫や犬、人も予防することが大切です。
マダニが媒介する感染症は、どれも命に関わることもあるので、とてもおそろしい病気。
次に紹介する予防法で、できるだけマダニの感染リスクを減らしていきましょう。
予防を意識するだけで、感染リスクは下がります。
ペットは定期的にケアをする
ペットを定期的にケアすることは、マダニ予防になります。
シャンプーやブラッシングをするときは、マダニがいないかチェックする良いタイミングです。
猫が庭で遊んだ後や犬の散歩帰りなどにブラッシングをしてあげながら、体をチェックすると良いでしょう。
猫や犬のシャンプーとブラッシングの基本的な頻度をまとめました。
ペットのケアをするときの参考にしてくださいね。
猫のブラッシング | 短毛種:1週間に2~3回 長毛種:毎日1~2回 |
猫のシャンプー | 短毛種:3か月から半年に1回 長毛種:1~2か月に1回 |
犬のブラッシング | 基本は1日1回 短毛種なら1週間に2、3回でも可 |
犬のシャンプー | 月に1~2回 |
また、ペットのケアにはマダニ駆除薬もおすすめです。
月に1度、マダニ駆除薬を投与することは、猫も犬もそして人にとってもマダニ予防になります。
今回ご紹介した駆除薬を参考に、合うものを見つけてあげてくださいね。
猫は普段からグルーミングしているので、ケアし過ぎないことも大切です。
外出時は虫除けスプレーをする
自然の多い場所へ行くときは、虫除けスプレーをしましょう。
マダニには、ディートやイカリジンの有効成分をふくむ虫除けスプレーが効果的。
庭やベランダで遊ぶのが好きな猫は、ペットにも使える虫除けスプレーがおすすめです。
また、犬の散歩時にも虫除けスプレーをしましょう。
犬にマダニがつくと、家にいる猫にも被害がおよぶ可能性があります。
犬と猫を一緒に飼っているご家庭は、気をつけてください。
人の場合も、外出時に衣服の上からシュッと吹きかけておくだけでマダニ予防になります。
乳幼児から使えるものもありますので、子供の公園あそびに持っていくと良いでしょう。
顔にはかけないように気をつけてくださいね。
肌の露出をひかえた服を着る
マダニに噛まれないためには、肌の露出をひかえましょう。
猫や犬だけでなく、人もマダニに噛まれることがあるからです。
野山や草むらなどのマダニがいそうな場所へ行くときは、服装に注意してください。
夏は暑いので、半ズボンやサンダルを履いてしまいがちですが、肌を出しているとマダニに噛まれやすいです。
なるべく長ズボンやスニーカーにしましょう。
また、帰宅時はマダニがついていないか全身チェックすることも大切です。
マダニが靴や衣類にくっついていることもあります。
家にマダニを持ち込むと、家にいる猫や犬に寄生するおそれもありますので、よく確認してくださいね。
家にいるペットにも被害がでるから、マダニを持って帰らないように気をつけなきゃ…。
まとめ|マダニ駆除薬で愛猫をマダニから守ろう
以上、猫のマダニ駆除薬をご紹介しました。
スポットタイプのマダニ駆除薬はさまざまな種類があり、特徴もそれぞれありましたね。
また、マダニは猫にも人にも危険な感染症を媒介することが分かりました。
マダニの感染症は、死亡や後遺症のケースもあり、とてもおそろしい病気です。
現在の医療では、治療法やワクチンがない場合もありますので、いかに予防するかが大事!
紹介した駆除薬と予防法を参考に、愛猫をマダニから守りましょう。
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